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インフルエンザはなぜ流行るのか

インフルエンザは国の法律で「感染症」と指定されています。
しかし、不思議なのはインフルエンザウイルスは1年中存在しているのに、
どうして冬の時期になると、急激にインフルエンザが流行するのでしょうか。
これにはいくつかの理由が考えられますので、お話したいと思います。

インフルエンザウイルスがもっとも生存しやすい環境というのがあります。
それは温度で20度以下、湿度で20%前後が最も生存に適した環境だと言われています。
興味深い観察結果があります。実験装置にインフルエンザウイルスを浮遊させます。
温度21〜24度、湿度50%に保ちます。そして6時間後にウイルスの生存状況を確認してみると、
生存率は3〜5%でした。次に、温度を同じに保ったまま、
湿度を20%に下げるとウイルスの生存率は60%に激増したのです。
また、温度7〜8度の低温にして、湿度を50%以上に設定します。
すると、6時間後のウイルス生存率は35〜42%でした。
そこから同じ温度を保ったまま、湿度を22〜25%に下げると、
6時間後のウイルス生存率はなんと63%にやはり増えたのです。
さらに、温度を32度まであげ、湿度50%に設定すると、
6時間後のウイルス生存率はゼロになりました。

この実験結果から、インフルエンザは20度前後か、それ以下の温度を好み、
また湿度は20%前後を好むことがわかります。逆に高温多湿にすると、
長く生存していることができません。つまり、日本の高温多湿な夏は生きていることができないと
言うわけです。ですから、冬も同じ環境にしてやると、インフルエンザ対策には良いということが
わかります。しかし、温度に関しては通常暖房機で部屋の温度を20度前後に設定しますし、
湿度も乾燥して20%前後と、もっともインフルエンザに適した環境を作ってしまっているのです。
冬に部屋の温度と外気との温度差があまり大きいのはよくありませんので、
むしろ湿度を高く保つように工夫したほうが、インフルエンザ対策には良いでしょう。

また、人間の側でも、冬にインフルエンザが流行しやすい要因を作り出しています。
気温の低い環境では、鼻やのど、気管などの血管が収縮します。
そうなると、線毛の動きが鈍くなってしまいます。この線毛というのは、
外部からウイルスや細菌が体内の侵入するのを防ぐ働きをしています。
ですから、この線毛の働きが悪くなると、必然的にインフルエンザをはじめ、
様々なウイルスが侵入しやすくしてしまうのです。

さらに、冬は窓を閉め切って、外の空気を入れることが少なくなるのも、
インフルエンザが流行しやすくなる原因です。感染した人がせきをするたびにウイルスが
まき散らされ、それが締め切られた部屋の中に漂っているわけですからね。
ウイルスがいったん気道粘膜に取り付くと、16時間後には1万個に、24時間後には100万個に、
猛烈な勢いで増えて息、粘膜細胞を破壊します。インフルエンザの潜伏期間が短いのは
このためです。潜伏期間が短いことも、短期間で大流行を引きおこしてしまう原因です。